口腔外科
一般的な歯科医院では口腔外科治療に対応していない歯科医院も少なくありません。「そもそも口腔外科治療ってどんなことをするの?」と治療内容が分からない方もいることでしょう。 本記事では、口腔外科治療で行われる治療内容や、治療の流れについて解説しています。調布歯科・かおいく矯正歯科は口腔外科治療にも対応している歯科医院です。費用や口腔外科治療を受けた後のメンテナンス方法についても説明していますので、口腔外科に対応している歯科医院をお探しの方はぜひご参考にしてください。
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口腔外科治療とは?
口腔外科治療とは、一般的な虫歯治療や歯周病治療とは異なり、外科手術を伴う治療のことです。親知らずの抜歯や外傷、歯の移植などが含まれます。
また、それ以外にも顎関節症治療や口腔がん治療など専門性の高い治療も含まれます。全身疾患がある患者様に安定した治療を行うために口腔外科で対応するケースもあります。
口腔外科で行う治療の中で特に多いのは親知らずの抜歯でしょう。親知らずの抜歯は一般歯科でも行われることが多いですが、難易度が高い抜歯に至っては口腔外科で治療を行います。親知らずは生え方や位置によっては、抜歯の際に神経や血管を傷つけてしまうことがあるのです。これらのリスクを避けるためには、精密検査による正確な診断と、高い技術と経験が必要になります。
そのため、難症例の親知らずの抜歯は、一般歯科から口腔外科に紹介状を書くことが多いといえます。
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口腔外科の治療内容
口腔外科で行われる主な治療は以下の6つです。
- 親知らずの抜歯
- 歯牙移植術
- インプラント手術
- 口腔内の腫瘍摘出術
- 口腔外傷の治療
それぞれの治療内容を詳しく説明します。
親知らずの抜歯
親知らずの抜歯は簡単な症例から難しい症例までさまざまです。難症例の場合は、正確な検査結果をもとに診断していないと予想以上に時間がかかったり、神経や血管を傷つけてしまうリスクが高まったりと危険です。
そのため、調布歯科・かおいく矯正歯科では事前にCT撮影を用いた検査を行います。
二次元レントゲンは設置していても三次元である歯科用CTを設置していない歯科医院は少なくありません。二次元のレントゲンでは平面上の情報しか確認できないため、正確な診断を行うのが難しいのです。一方でCT撮影であれば立体的な情報を得られるため、神経や血管の位置を正確に把握できます。その結果、精密な治療計画を立てやすく、さまざまなリスク回避につながります。
1. 麻酔をする。
2. 麻酔が効いているのを確認してから、専用の器具で歯と歯茎を分離させる。
3. 抜歯鉗子で親知らずを抜く。
4. ゼラチンでできているスポンゼルという止血剤を抜いた穴に入れる。
5. 必要に応じて縫合する。
6. そのまま止血を確認するまでガーゼを噛んでもらう。
これが一般的な親知らずの抜歯の流れですが、難症例や歯茎に親知らずが埋まっている症例では、歯茎の切開や親知らずの分割が必要になることがあります。
治療時間は30分〜1時間程度で、親知らずの状態によって異なります。
抜歯後の注意事項
- 抜歯後は止血ガーゼを30分程度噛んでください。
- 抜歯した日は強くうがいをしないでください。血餅と呼ばれる治癒過程でできるかさぶたのようなものが取れる原因となります。血餅が取れると出血したり、治癒が遅れたりしやすくなるため注意が必要です。
- 処方された抗生剤は必ず飲み切ってください。痛み止めは痛みが出た場合に飲んでください。
- 抜歯した当日は血流が良くなると、痛みや出血が出やすくなります。そのため、激しい運動や入浴、飲酒は避けてください。お風呂は軽くシャワーで済ませる程度にしてください。
歯牙移植術
歯牙移植術とは、健康な歯を抜歯して、欠損部位に移植する治療です。移植に用いられる歯は主に親知らずですが、抜歯しても噛み合わせに問題がない不要な歯を抜歯することもあります。
歯の移植に必要となるのは歯根膜です。歯根膜とは、歯と歯槽骨をつなぐクッションのような役割がある組織で、この歯根膜に再生能力があることによって移植が成立するのです。
そのため、移植する歯を抜歯する際には、歯根膜が剥がれてしまわないよう慎重に抜歯する必要があります。歯根膜が剥がれてしまうと結合がうまくいかず移植できません。
また、どんな歯でも移植ができるわけではなく、歯や歯根の大きさが合っていなくては移植が難しくなります。
歯牙移植術の成功率は60〜70%程度であり、移植した後の平均生存率も5〜10年程度です。永久的な治療法でありませんが、定期的に適切なメンテナンスを受けることで長持ちできます。
歯牙移植術は以下の流れで行います。
1. 麻酔をしてから、保存できない歯を抜くと同時に、移植する歯も抜歯して欠損部位に移植する。
2. 歯科用接着剤やワイヤーなどを使用して移植した歯を固定する。
3. 移植した歯の神経の処置を行う。
4. 根っこの治療が終わり、安定して固定されていることが確認できれば、被せ物の型取りをして装着する。
これが一般的な歯牙移植の治療の流れですが、自費治療であれば歯周組織を再生させる材料を使用することもあります。
歯牙移植後の注意事項
- 歯科医師の指示があるまで歯ブラシで磨かないようにしてください。
- 強いうがいは避け、軽く数回ゆすぐ程度にしてください。
顎関節症治療
顎関節症は顎辺りに痛みを生じたり、口が開きにくくなったりする病気のことです。口を開閉する際に顎で異音が鳴ることもあります。顎関節症の原因はさまざまであり、原因に適した治療を行うことが大切です。
顎関節症の主な治療方法は以下の4つです。
- スプリント治療
- 薬物療法
- 理学療法
- 外科手術
それぞれの治療法を以下の表で詳しく解説します。
顎関節症の治療法
スプリント治療 | 顎関節症の症状を緩和するため、マウスピースを装着します。マウスピースがクッションの代わりとなり、顎にかかる負担を軽減します。 |
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薬物療法 | 痛みが強い時は鎮痛剤が用いられます。 咀嚼筋などの筋肉に痛みが生じている場合は、筋弛緩剤が使用されます。筋弛緩剤は副作用で眠気が出ることがありますので注意が必要です。 歯ぎしりが原因である場合は、精神安定剤を服用して熟睡を図ることで歯ぎしり症状を軽減させます。 慢性的な顎関節症の場合に、抗うつ剤を用いることもありますが、副作用も強いため、慎重な診断が必要です。 |
理学療法 | 顎関節周囲をマッサージして、筋肉の緊張をほぐします。血流がよくなり痛みが軽減します。 |
外科手術 | 顎関節症で外科手術が必要になるのは非常に稀であり、ほとんどありません。 関節が癒着している、関節円板が変形している場合などに手術が必要になります。症例によって手術内容は異なりますが、多くの場合、全身麻酔が必要です。 |
インプラント手術
インプラント手術は歯を失った際に、見た目や機能面を回復させる治療法です。見た目は自然で美しく、自分の歯のようにしっかり噛めるようになることが特徴です。
インプラント手術は基本的に保険が適用されないため自費治療となります。自費治療は歯科医院によって費用が異なりますが、1本あたり30〜45万円程度かかることが多いでしょう。
また、インプラント手術の成功率は90%以上と高く、多くの歯科医院で導入されています。ただし、インプラント治療の実績を積んでいる歯科医院でないと失敗することもあるため、歯科医院選びは必要でしょう。
インプラント手術は以下の流れで行います。
1. 麻酔をする
2. 歯茎を切開し、骨にドリルで穴をあけ、インプラント体を埋める
3. インプラント体と骨が結合するのを数ヶ月待機する
4. 待機している期間に仮歯を装着する
5. インプラント体と骨がしっかり結合しているのを確かめてから被せ物の型取りをして装着する
これが基本的なインプラント手術の流れですが、症例や使用するインプラントによって手術を2回に分けて行うこともあります。
インプラント手術後の注意事項
- 手術後は血流が良くなる運動、入浴、飲酒などは避けてください。腫れや痛み、出血が出る原因となります。
- インプラント部分は歯科医師の指示があるまで歯ブラシを当てないでください。
- 喫煙はインプラントと骨がうまく結合できない、傷の治りが悪くなるなどさまざまなトラブルの原因となります。インプラント前から禁煙を心がけたほうがいいでしょう。
口腔内の腫瘍摘出術
口の中の腫瘍は良性のものから悪性のものまでさまざまな種類があります。そのため、種類によって治療法も異なるのです。
良性の腫瘍の場合は、自覚症状がないことが多いため、歯科医院でレントゲン撮影を行った際に発見することもあります。良性腫瘍は切除することで治せることが多いため、麻酔をして腫瘍のみを切除する手術を行うことが多いでしょう。
一方で、悪性の腫瘍の場合は、進行度や部位、患者様の希望によって治療法が変わってきます。
基本的には全身麻酔を行ってから摘出術を行いますが、病変が大きいケースであれば、まずは一部分のみを摘出して残りが縮小してから再度摘出術を行うことがあります。
口腔外傷の治療
事故やスポーツなどによる外傷治療も口腔外科では多い分野です。
口腔外傷でよくある症例は以下の4つです。
- 歯の破折
- 歯が抜ける
- 唇や頬など粘膜の傷
- 顎骨の骨折
歯が欠けた場合は、範囲が小さければ歯科用プラスチックで詰める治療になり、範囲が大きければ被せ物による治療になることが多いでしょう。
完全に歯が抜け落ちた場合も、再植できる可能性があります。抜け落ちた歯を乾燥させないよう牛乳に浸けてすぐに歯科医院を受診してください。
そして、粘膜が裂けた場合などの傷は必要に応じて縫合を行います。
顎骨が骨折した場合は、手術が必要ないケースでは上下の顎をゴムやワイヤーで固定する顎間固定(がっかんこてい)の治療を行います。早期に固定することで痛みや腫れを予防するためです。4週間程度は固定が必要でしょう。手術が必要なケースでは、部位によって口の中、もしくは顎の裏から切開を行います。骨折した骨を正しい位置に戻してから金属のプレートで固定します。その後、顎間固定も必要です。
口腔外傷の治療
歯の破折 | 少し欠けた程度であれば尖っている部分を研磨、もしくは歯科用プラスチックで詰める治療を行う。 大きく破折した場合は、神経の処置を行い、被せ物の治療をすることがある。 |
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歯が抜け落ちる | 事故などで完全に歯が抜け落ちてしまった場合、再植できる可能性があります。時間が経てば経つほど成功率が下がってしまうため、すぐに歯科医院を受診しましょう。また、抜け落ちた歯は乾燥しないよう牛乳に浸けて歯科医院に持って来てください。 |
唇や頬など粘膜の傷 | 粘膜が裂けた場合、必要に応じて縫合します。 その後も消毒や抜糸のために通院が必要です。 |
顎骨の骨折 | 顎骨が骨折した場合は、顎間固定が必要です。 手術がいらないケースもありますが、骨を元の位置に戻し金属プレートで固定する手術を行うこともあります。 |
調布での口腔外科治療の流れ
調布歯科・かおいく矯正歯科ではさまざまな口腔外科治療に対応しております。症例によって治療内容は異なりますが、初診から術後のフォローアップまでを紹介します。
初診と診断の流れ
初診時にはカウンセリングを行い、患者様のご要望などもお聞きします。その後、お口全体の詳しい検査を行います。親知らずの抜歯やインプラント手術など、必要に応じてCT撮影を行うこともあります。
検査結果をもとに診断し、治療内容や治療後の予後などについて十分に説明します。患者様に十分に納得していただいてから治療を進めますので、気になることや不安に思うことはご相談ください。
手術の具体的なステップ
親知らずの抜歯やインプラント手術など手術を伴う治療の場合は必ず麻酔を行います。手術中は麻酔が効いているため基本的に痛みを伴うことはありません。
ただし、手術中に麻酔が切れて痛みがある場合は、麻酔の追加処置を行いますので直ちに知らせてください。
術後は痛みや出血、腫れなどを防ぐためにも安静に過ごしてください。
また、手術を受けた場合は、翌日に消毒を行うため来院していただく必要があります。経過をみながら手術の1週間後に抜糸も行います。
調布での口腔外科治療の費用
口腔外科治療の費用は保険診療か自費診療かによって大きく異なります。 ここでは親知らずの抜歯の際の費用と、顎関節症治療の際の費用について詳しく説明します。
親知らずの抜歯の費用
親知らずの抜歯は基本的に保険が適用されます。しかし、抜歯の難易度によって費用は異なるため注意が必要です。
真っ直ぐに生えている比較的難易度が低い親知らずの抜歯は3割負担で2,000〜3,000円程度の費用になります。親知らずが横向きであったり骨の中に埋まっていたりする難易度の高い症例の場合は、3割負担で5,000円程度です。また、CT撮影が必要であれば別途3,500円程度の費用がかかります。
顎関節症治療の費用
顎関節症治療の費用はほとんどのケースで保険が適用されます。
顎関節症治療にかかる費用相場は以下の表でまとめています。
顎関節症治療の費用相場
スプリント治療 | 3割負担で3,000〜8,000円程度 |
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薬物療法 | 3割負担で数百円〜1,000円程度 |
理学療法 | 3割負担で1,000〜2,000円程度 |
外科手術 | 3割負担で3,000〜150,000円程度 手術内容によって費用は大きく異なるため、事前に確認が必要です。 |
歯科医院によっては自費診療で治療を行っている場合もあります。その場合は、保険が適用されませんので、治療前に費用を確認しておく必要があるでしょう。
調布での口腔外科治療後の
メンテナンス
口腔外科治療を受けたあとは必ずメンテナンスを受けるようにしてください。治療後の予後を良好に保つためと、万が一トラブルが発生した場合に早期に対応するためです。
歯牙移植やインプラントなど、治療後のメンテナンス次第で寿命を延ばせる治療もあります。良性腫瘍の場合、再発するものも多く、自覚症状がないために再発しても気付かないこともあるでしょう。
何かトラブルが発生した場合も、早期に発見できれば簡単な処置で済むことが多いといえます。治療後にまた大掛かりな処置をしなくてもいいようにメンテナンスは受けるようにしてください。
まとめ
口腔外科は同じ治療であっても状態や進行具合によって治療内容が異なることが多くあります。そのため、治療前にはカウンセリングの時間を設けて患者様のお悩みをお聞きし、患者様一人ひとりに適した治療内容を詳しく説明しております。気になることや不安なことがありましたらお気軽に調布歯科・かおいく矯正歯科までご相談ください。
私は東京歯科大学卒業後、なるべく歯を削らないMI治療、マイクロスコープを使用した保存治療、成功率の高い精密根管治療に特化して研鑽を積んでまいりました。解剖講座で研究し博士号を習得したのち、当院の本院にあたる柳沢歯科医院で精密根管治療、保存治療における技術を更に磨いてきております。
また、当院では矯正歯科治療を専門とする歯科医師も在籍し、表側ワイヤー矯正をはじめ、これまでの矯正歯科とは全く異なるアプローチとして顔面骨格の正しい発育を促す小児矯正歯科治療「顔育矯正」にも力を入れております。
「歯をなるべく削らない」「虫歯を取り残さない」「根管治療を成功させる」ことを大切にし、当院のコンセプトとして掲げている”歯医者を卒業するための歯医者”を体現してまいります。